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日本が誇るエネルギーマネジメント ~世界展開を見据えたものづくりと価値づくり~

 

NIDays 2011のランチョンセッションでは、「エネルギー産業における価値づくり」について、建設、電機、制御システムおよびシンクタンクという各分野からパネラが参加してのディスカッションが行われた。「ものづくり」から「価値づくり」へと、大きな戦略の転換が求められている中、パネルディスカッションでは、「スマートエネルギーへの取り組み」「省エネとインセンティブ」「エネルギー産業とグローバル化」という興味深い3つのテーマで意見交換が行われた。

日本企業は製品・技術開発の現場で、「ものづくり」から「価値づくり」へと、大きな戦略の転換が求められている。これはエネルギー産業でも同様である。こうした中、NIDays 2011のランチョンセッションでは、「エネルギー産業における価値づくり」について、建設、電機、制御システムおよびシンクタンクの各分野からパネラが参加。主に3つのテーマでディスカッションが行われた。

【モデレータ】

•津田 建二 氏(セミコンポータル 編集長)

【パネリスト】

•傅田 篤 氏(清水建設株式会社 所長補佐)

•小林 延久 氏(株式会社日立製作所 情報制御システム社 主管技師長)

•若松 仁 氏(株式会社三菱総合研究所 環境・エネルギー研究本部 主任研究員 国際公認投資アナリスト)

•福田 一成 氏(株式会社山武 ビルシステムカンパニー部長)

•早川 周作 (日本ナショナルインスツルメンツ株式会社)

建設、電機、制御システムおよびシンクタンクの各分野からパネラが参加した


スマートエネルギーへの取り組み

モデレータを務めるセミコンポータル編集長の津田建二氏はまず、スマートグリッドの概念を示した。この中で津田氏は、「スマートグリッドとは、電力を平均化する仕組み」であると説明。太陽光発電システムや自家発電装置、蓄電装置電気自動車などが接続されたスマートグリッドでは、太陽光発電システムなどの発電量を管理しつつ、それだけでは不足する電力をどのように賄うかも考えなければならない、と述べた。

セミコンポータル編集長の津田建二氏がモデレータを務めた

その上で、家庭内で消費されるエネルギーの監視(家庭内エネルギーマネジメント)にはパワーモニタなどが使われているが、いずれは、スマートフォンやタブレット端末で電力の消費量を確認することができるようになるだろうとの見方を示した。

津田氏が示したスマートグリッドの概念図


パネラからはまず、各社のスマートエネルギーに対する取り組みや考え方などが簡単に紹介された。この中で「エネルギーマネジメント」をキーワードとして挙げるパネラが多かった。例えばスマートコミュニティを実現するための重要なテーマとして、「CO2削減、エネルギーマネジメント、QOL(Quality of Life)の向上」を挙げた。また、さらに「需要と供給に対して、貯蔵も含めて最適なバランスを取ること。そして我慢しない省エネを考える必要がある」と述べた。

エネルギーマネジメントに関して、2人のパネラから具体的事例も紹介された。1つはある地域において複数の運営管理者が連携し、それぞれの管理体制などをチェックして常に運用の改善に取り組んでいる事例である。もう1つは地域の特性に合わせたエネルギーマネジメントシステムを導入しているコミュニティの事例である。

 

我慢しない省エネとインセンティブ

 

2011年夏の「節電」についても各パネラからいくつかの意見が出た。例えば「15%の省エネ活動については総じて、予想以上の成果を挙げることができた」と前置きしながらも「その詳細をみると成果を出したのは特高(特別高圧)と呼ばれる大口需要家である。契約の多くを占める低圧の需要家や一般家庭では節電があまり進まなかった」と分析。その上で記録的な猛暑の中でみんなが我慢して節電に協力した点に触れ、「今後は需要家にインセンティブが還元されるようなシステムの構築が必要である。そうしないと、継続的に電力需要を削減していくことが難しくなる」と指摘した。

労働環境を保ちながら節電を達成している例もある。ある企業では社員が各自PHSを保有している。来客者にはタグを付けてもらう。これらの端末を利用して、例えば部屋に入室している人数の情報を基に、室内の空調を最適に自動制御するという。社員が持つPHSには「明るさ」に関する個人データも記録されており、照明器具を自動的に制御することができる。こうすることで、「電力消費の無駄をなくし、個人が我慢することもない」ということだ。

 

エネルギー産業とグローバル化

東日本震災をきっかけに、日本国内でも再生可能エネルギーの導入について関心が高まっている。海外市場では既にスマートグリッドなどの運用も始まっている。今後、世界のエネルギー産業がシステムやサービスの変革を求められる中で、日本企業は早急に進むべき方向を明確にする必要がある。

エネルギー産業の世界市場は、「2030年に180兆円を超える」との予測がパネラから紹介された。ただ、日本と米国では、電力業界の仕組みが異なり、日本のシステムをそのまま適用することは難しいかもしれない。これに対して、日本の市場に近い東南アジア地域では、業界の仕組みやカルチャも近いものがあり「日本で蓄積したエネルギーサービスをパッケージにして輸出することもできるだろう」という見方が示された。

「世界的にもエネルギーマネジメントを組み込んだ街づくりの需要は大きい。そこには『新興国を中心としたエネルギーマネジメント』と『経済が成熟化した先進国におけるエネルギーマネジメント』を考慮した2つのアプローチを考えなければならない」という意見も出た。前者は都市部への人口集中であり、後者はコンパクトな都市化などである。新興国と先進国では、スマートコミュニティに対するニーズも異なる。それぞれの特性を踏まえた戦略が必要である。

グローバル化については、次のような発言があった。「規格の標準化に関わるには、学際的な知識を有する人材が重要である」。例えば、金融、法律、社会システムなどについて幅広く理解している人材である。こうした人材を育てて、グローバルに対応していくことが必要である。その次に、現地のニーズにあった製品を開発できる現地人の育成が大切なことを強調した。

そしてグローバル化にあたってのアドバイスとしてこんな意見も寄せられた。「当社はエネルギーに関する技術をフルメニュで用意している。しかし、東南アジアでそれらの技術を全て使いこなすことはない。ローカルのニーズを取り込めるようにしておき、現地発の技術が良ければそれを取り込んで、現地人が作った、という意識を持たせるようにしている」。

最終的には「国内外のエネルギー市場で勝者となるには、どのような形で市場や顧客に対して付加価値を生み出せるかである」という意見でほぼ一致し、価値づくりへの転換が重要であることを再認識した。

(『EETimes Japan』に掲載された記事をアイティメディア社の許可を得て掲載しています。)

 

 

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